介護と浴室(過去投稿)

浴室に対する考え方は人それぞれだと思います。
ユニットバスを選びにお客様とショールームへ行ってきました。お客様からは今後介護が必要になる可能性を考慮する要望を頂き、生活導線に基づく床暖房配置や光の入り方などを間取りに反映させたプランを提示したうえで、弊社で建築模型を制作し、お客様だけでなく、私たち設計・施工側も共通のイメージを持てるよう進めているものです。

当初のプランでは浴室へのアクセス性を高めるため大型のスライド扉を検討していました。
棚に多くものが置けることや、手すりが自由な位置に設置出来ることがお客様の要望とマッチして、写真の製品に決定したわけですが。コストの面では、ジャグジーが最初からついているこのモデルは高価なもので、浴室以外でコストダウンを検討する必要性がありスライド扉の再検討も必要でした。しかし、収納と自由度の高い手すりなどのオプションに高級感のある仕上げは魅力的です。
従来工法の浴室を選択することも可能でしたが、今回の場合は木造建築の弱点である湿気を防ぐことや、脱衣所と浴室の床面をフラットにする目的を達成しやすくするため、手すりの設置などの改修の可能性など理由からユニットバスを選択し、数ある製品から1つを選びオプションを決め、建築全体との整合性をとっていくかたちをとりました。

ユニットバスは、工業製品、要するに既製品です。画一化することで大量に生産し、コストを下げる。集合住宅などで費用と工期を縮小する画期的な方法として発達したものだと思います。人それぞれの好みや要望・生活に合わせられるよう、大量生産品にはオプションが用意されていることが多々あります。しかし、そのオプションも既製品なんですね。既製品の組み合わせでオリジナリティを出したり、自分に合ったものを作り出すことになります。建築では、システムキッチンやユニットバスなどはまさにその組み合わせで個性が出てくるものです。
大量生産ではない従来工法は1から選択をすることができ、いわゆるオーダーメイドの浴室を作り上げることが出来ます。費用に余裕があり、浴室に対するこだわりがあるのであれば、従来工法をもちろんおすすめしたいと考えているのですが・・・

話が飛びましたが、ここで私が気になること、それは介護と浴室の関係でした。浴室に対し強いこだわりがあっても、介護を考慮すると状況が変わってきます。大量生産されている製品では介護用オプションを選択することも出来ますが、従来工法ではなかなかそうはいかないのが現状です。そのため、介護を考える→ユニットバスを選択する。という流れになりやすいことに少し抵抗があったわけです。
浴室に対する考え方が人それぞれなように、今後需要が増す介護を考慮した浴室にも費用を抑えながらも、様々な選択肢を提案できるような立場でありたいと考えさせられる出来事でした。

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